にせねこメモ

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Type& 2015「書体視認性:MIT AgeLab と Monotype の共同研究」を聴いてきました

www.typeand.net
Type& 2015 において、 Nadine Chahine さんによる「書体視認性:MIT AgeLab と Monotype の共同研究」を聴講してきました。


視認性、というと主に主観的な話になりがちですが、その部分が実験により客観的なデータで示されていたので、非常に興味深かったです。面白いと感じたトピックをメモしておきます。


人が読むということは、常に同じでなく様々に影響を受けているということ。

  • 記憶と認識
    • 曜日を順番に言うことは簡単だが、それをアルファベット順に言うのは難しい。
    • 同じ模様の中で一つだけ異なるものを探す。向きを変えると数字と近い形になり見つけるのが早くなる。
  • 書字方向が世界の認識に影響する。
    • とある実験。ボールを蹴っている男の子を描いてくださいと被験者にお願いする。大抵は左に男の子、右にボールを描く。これは英語がラテン文字で左から右にかかれることに影響されている。一方でアラビア語話者は右に男の子、左にボールを描くことが多い。これもアラビア文字の書字方向が右から左であることによるもの。また、イタリア在住のアラビア語話者は五分五分でどっちも描くとか。
    • 同様に、一番前の一番目の椅子に座ってくださいと言われた場合にも同様のことが起こるらしい。
    • 子供が文字を読み始めて1年、6歳くらいにはこのような directional bias がある。
  • 色による影響
    • 青の方が黄色より信頼されやすい。

Typefaceと視認性(legibility)について。細部しか違わないのであればその違いを見分けるのにより長い時間がかかる。