一眼レフカメラのボケの形を様々に変えて遊んでみたいという話です。
はじめに
一眼レフカメラなどの大きな受光面(センサー)をもつカメラでは、ピントの合う範囲*1が狭く、ピントから外れたところは大きくボケます。
写真ではそのボケがしばしば効果的に使われていて、特にポートレートで人物を浮き立たせるためなど多用されます。
このボケですが、絞りの形*2に沿ってボケます。
絞りは、レンズ内をカメラのレンズを通って入ってくる光の量を制御するためのもので、光の通る穴の広さを変えることでこれを実現しています。絞りを「絞って」光の通る穴を狭くすると、それに従ってボケも小さくなります。
さて、ボケというと丸いイメージがあります。絞りの形に沿ってボケるということですが、絞りの形を好きな形にしたら、その形にボケるのでしょうか?
実際に試してみます。
レンズの絞りを取り換えることはできないので、擬似的に穴をあけた黒画用紙をレンズ前面に置くことで光の通り道を制御します。
手順
黒画用紙をレンズ前面にはまるように丸く切り、好きな形の穴を切り抜きます。うまく出ない可能性があるので、あまり穴が端の方まで来ないようにした方が良さそうです。
レンズ前面のフィルタを取り付けるところにはめ、レンズプロテクターを上から取り付けて挟んで固定します。これはテープで貼りつけて固定するのでも構いません。
完成。
撮影
絞りを開放にして撮影します。
一点で光っているものだと、ピントが外れた時のボケがわかりやすいです。
光沢のある物体のハイライトだとか、イルミネーションの電飾だとか。街灯とかを遠くから撮影してもきれいです。
今の時期イルミネーションもあまりないので、適当に撮影したものを載せます。あまりいい例ではないですが……。
ちゃんと背景のあかるい部分が星形にボケてますね。
ケーキの蝋燭を動画に撮ってみました。ピントリングを回してピントを動かしています。
ボケで遊んだ。 pic.twitter.com/ODrhzvpmbd
— にせねこ (@nixeneko) 2017年2月23日
蝋燭の炎は画面上で結構な面積あるので、ボケた結果も縦長でややいびつな形になってますね。
手元にあったガチャガチャのフィギュアを撮ってみました……といってもここで見たいのは繋がってる鎖の方ですが。
鎖の部分のハイライトが星形にボケています。面白いじゃない!
適当な夜の町の写真です。
やはり夜景を撮ると良いですね。街灯がきれいな形にボケてくれます。
おまけ
ところで、細かい模様でも再現できるのでしょうか。試しにこんなものを作ってみました。
撮影テストしてみるとこんな感じになりました。
光が小さい点一つのみでかつ画面中央に来るようにうまいこと調整すると、やや滲んでますがこれくらいは出ます。しかし条件が良くないとぼやけたり重なってよく分からない感じになります。
より複雑な形のボケ。 pic.twitter.com/qWilQkSRZW
— にせねこ (@nixeneko) 2017年2月23日
動画です。LEDのライトは割ときれいな形にぼけてくれます。
中央から外れるとすぐ潰れてしまいますが。
まとめ
- ピントが合ってる面の前後でボケの向きが反転する
- ピントが合ってる面より後ろ側だと穴をくり抜いた黒画用紙レンズに嵌めた方向にボケて、ピントが合ってる面より手前側だとレンズに嵌めた向きとひっくり返ってボケるようです。
- 写真の中心はともかく、画面端のほうはボケが一部欠ける
- くり抜いた紙をレンズ前面にくっつけてるだけなのである程度仕方ない気がします。
追記(2017-08-02)
絞りの形変えられるレンズ製品もあります。
New Petzval 85 Lens
vimeo.com
参考
実際の世界の一点光がボケて広がる、その広がりを錯乱円 circle of confusion といいます。円なのは絞りが大抵は円やそれに近い形をしてるからでしょうか。
画像処理の流儀 - 焦点深度、被写体深度、絞りとの関係
Circle of confusion - Wikipedia